***NO.3バージョン:1*** 「うーん・・・」 朝。鐘の音で目が覚めて、クキ・サンバンは此処が何処かとしばし考える。 木で出来た天井。ベッドはいつものようなフカフカでぬいぐるみがいっぱいな物ではなく、質素で少し貧乏じみた物だった。 そういえば、KNDの任務はどうなったのか。 この時点で既に気付いてもいい物だが、クキはわざわざ声に出して言ってみる。 「えーっとー。KND極秘任務で赤い本を開けちゃってーあれ?KNDって何?ああKNDだわそれで私はクキ・サンバンでーNO.3なの。で、シンデレラの物語に入ってー主役だけが記憶があるのよねーってことは私がシンデレラ!?キャーーーっっっvvv」 ようやく自分が願っていた主役になれたという事に気付き、思わず声を上げてしまう。すると、 「五月蝿いわよシンデレラ!!静かにして起きたのならさっさと仕事をなさい!」 下の方から声が聞こえた。どうやら継母のようだが、どこかで聞いた事のある声だ。セクターVにはいない、KNDメンバーの声。 少しその声に苛つきながらも、とりあえず返事をして、着替える事にする。 「おはようシンデレラ。」 と、背後から優しそうでのんきな声がした。振り返ってみても誰もいず、おかしいなぁと思っていると、 「下だよ下。僕を忘れたの?」 また声がするので、今度は振り向いてさらに下を見てみる。そこにいたのは―――― 「な、NO.2?」 顔形はNO.2でも、スモールサイズで鼠耳と鼠尻尾がついている。 いくらクキでも信じられず、耳をためしに引っ張ってみたが痛いと言われた。 「痛いなぁ・・・酷いよもう。・・・そろそろ朝ご飯の支度とかした方が良いんじゃない?」 「それもそうねー。・・・うーん・・・・・」 そう言ってクキはNO.2(今は鼠だが)の顔をジーっと見つめる。 「な、何さシンデレラ。」 そのまましばらく見つめた後、 「キャーーーやっぱり可愛いvvNO.2でも鼠になれば可愛いのねーv」 そう言っていつものように抱きしめる。 「く、苦しいよ・・・どうしちゃったのシンデレラ?」 苦しむNO.2がそう言った矢先に、階下から怒鳴り声が聞こえてきた。まさに意地悪といった口調で。 「シンデレラ!!眠れないじゃないの静かにしてよ!!」 どうやら此処は屋根裏部屋のようで、声はやはり、セクターVにはいないKNDメンバーの、しかし継母とは違った声。 「ほら、早くしないと!この間ティータイムの用意が遅れた時、酷い仕打ちを受けたでしょ。忘れちゃいないだろ?」 「えーっと・・・酷い仕打ちって?」 「逆さ釣りの上金バットで殴られたのさ!」 「・・・・・・・・・そーりゃ大変だわ。」 シンデレラって、物語の見えないところで苦労してたのね。 そう思いながらクキは台所に下りて(屋根裏部屋から一階の台所まで行くのになかなか時間が掛かった)、料理の準備を―――― 『そういえば私、料理した事無かったっけ・・・。』 思ってクキは調理台を前にして固まる。お菓子なら作れるけど・・・駄目なんだろうな。 「えーっと、NO.2、私急に料理のレシピをド忘れしたみたいなの。知ってる料理で良いから教えてくれないかな。」 「いいけど、朝はパンと牛乳と目玉焼きだけで十分なんだよ?」 ・・・・そーですかぁ。 気を取り直して、お盆にパンと牛乳、それから初めてながらも結構上手に焼けた目玉焼きを載せて、まずは「お継母様」の部屋へ。 部屋のドアを開ける。キィーときしんだ音がして、暗い部屋に明かりが差す。 「あー・・・お継母様、朝食を持ってきました。」 「今日は早いじゃないのシンデレラ。まぁそれも今日だけだろうけどね。」 あぁ嫌な言い方だ。暗くて顔が良く見えないので、ドアを全開にして部屋が明るく照らされる。そこで見た継母。 ベッドの中に入って上半身だけ起こしているが、金髪で、前髪は横分け。後ろは切りそろえてある。KNDの最高司令官である彼女――― 「ナ・・・NO.362・・・・・・。」 「そんな番号で呼ぶんじゃないよ。何様のつもりだい。ところで、今日やる事は覚えているね。」 「・・・・はい」 正直分かっていなかったが、否定すると何か怖いことが起きそうだと感じで、あえて肯定した。 「まず、洗濯。」 「はい」 「次に家畜の世話。」 「・・・はい」 「次に掃除」 「・・・・はい」 次々と項目を延べていく継母ことNO.362。クキは覚えきれない。 「・・・・最後にドレスの手入れ。これが出来たら後は自由だよ。」 一日中頑張っても出来そうに無い量。クキは部屋を出た後て溜息をついた。 早く王子と結ばれたいな。もう誰でも良いから。 涙がチョチョ切れた。 次。一番上の「お義姉様」の部屋。 今度は誰だろう。少しわくわくしながらドアを開ける。 「遅かったじゃないシンデレラ!!!何してたのよ全くとろくさいわねぇ!」 入った途端に怒鳴り声。朝怒鳴っていたのはこいつだ。クキは思う。 そして、物語の世界でなくても、この人はよく怒る人だったと思い出した。 グローバルコマンドのリーダー、NO.86。彼女が、一番上の義姉。 「これ!洗濯物よ!さっさと洗ってよね!!!」 彼女が朝食の載ったお盆を受け取ってから洗濯籠を押し付けてそう言いながらドアをものすごい勢いで閉るまでわずか3秒。 実に彼女らしい。 だんだん慣れてきた。二番目の「お義姉様」の部屋。 もう誰が出ても驚くまい。そう思ってた。 のに。 「遅いじゃないのシンデレラ。もうお腹が空いて待ちきれないわ。」 そこにいたのは、NO.Tことトミー・ギリガン。 しっかりと女の子用のネグリジェを着て、今さっき起きたばかりだという顔をしている。 これは笑いをこらえるのに相当な努力がいった。 「はははははい御免なさい今すぐ洗濯物はこれですね御免なさい今もって来ますあはははははさようなら」 部屋に入ってから退室するまでわずか6秒。NO.86といい勝負だと思った。 部屋の外に出て思いっきり笑ったらNO.362に怒られた。 もうそろそろ飽きてきた。三番目の「お義姉様」の部屋。 いい加減にしてくれと扉を開けたその瞬間。 上から黒板消し。 「ぶほっ」 何事かと思いつつも足を進めれば足の裏がチクリ。 下に画鋲。 「やぁ。なかなか遅かったね。暇だったからトリックを仕掛けてみたよ」 抑揚の無い重なった声。 そう。 顔を上げればあの忌々しいおすましキッズ。 「あのー。この状態でどうすれば良いんですかー。」 お盆を持ちながら問い掛ける。もちろん答えは 「そんなの知らないよ。もって来て。」 ヒィヒィ言いながら手が塞がっている状態だから仕方なく足で画鋲をどかして、なんとか怪我をせずにおすましキッズのところまでたどり着く。 「ちっ(ちょっと大きめで)。ご苦労様。洗濯物はそこだよ」 お義姉様があれって、ちょっとそれありですか。 4人分(?)の洗濯物を持って階段を下りて、外に出て洗濯物を冷たい水で洗いながら、そう考えた。 水は冷たくて、ちょっと暑いこの日には気持ちがよく、洗濯をする手も進んだ。 「今日も大変だねシンデレラ!僕はイマイチ二番目のお義姉さんが気になるんだ。ドレスにゴーグルって今時合わないよ。」 自分の弟なんですがー。 半眼になりながらクキはそう突っ込みたかった。 陽射しはギンギラに輝いて、暑かった。 ← →Next +++++++++++++++++++++ ごめんなさいまだ続きます。本当は全部出来てからアプろうかと思ったんですが。 どうも自分は出来たらすぐアプりたい派らしいです。 見ての通り、クキバージョン。アビバージョンもあります。(コソッ(多分ね まずはおねぇ様たち登場〜。なんかヤバイです。特に姉2と3。 継母役が誰だか分からない人はちょっと見逃してあげてください。(ぇ とりあえず、今のところギャグです。このまま行くかな。 戻る |