***物語クラッシャー。 一番始まり***



ある午後の昼下がりのツリーハウス。
うららかな陽射しと共にけたたましく鳴るのは、KND極秘任務の警報機。
メンバー全員が何だ何だと警報機のモニターの下に集まる。
モニターに移ったのは、某極秘任務司令官だ。
「今から、重要極秘物を転送する。君たちはそれを処分せよ!くれぐれも危険だからな、丁重に扱うように!」
と、彼は言う。

まもなくして送られてきたのは、赤いハードカバーの、厚い本。
「うわー!!可愛い!何これ何これ!!」
「触るな、NO.3!」
早速興味を示して触ろうとするNO.3を、リーダーであるNO.1が制す。が、それを全く無視してNO.3は手にとった。
「これにより何人ものKNDメンバーが大変な事になっている。君たちも十分注意して取り掛かるように!」
「こら!NO.3!それ、こっちに返せ!リーダーの命令だぞ!」
「いやよ〜〜何かしらこれ!どんなお話が書いてあるのかしら!」
「静かにしてよ。ところでNO.4,ナチョチーズどこ?」
「俺は知らねぇよ。戸棚じゃないの?」
「あ、そっか。」
司令官が注意しているにも関わらず、皆好き勝手な事ばかりしている。
「ところで、あの本何なの?NO.5さっさと終らせちゃいたいんだけど。」
NO.5を除いて。
司令官は救われた思いで詳しく説明しだす。
「あ、あぁ、あれは我等がKNDメンバーがおすましキッズの所から奪ってきたんだがな、あの本に取り込まれると、」


「不思議の国のアリス?白雪姫?ううん!童話じゃないのかも!じゃ、ハ●ーポッターとか?」
そう言ってNO.3は本の淵に手をかけ、
「良い子ちゃんになって帰って来るんだよ。対処法も分からないんだ。」
そう司令官が言ったと同時に、それを開いてしまった。



ゴウッと風が吹き抜ける。
発生源は、あの本。
皆は思わず目を瞑ってしまう。司令官がモニターで見る彼等の部屋は、風のおかげで何が起こっているのか分からない。



風が収まったとき、彼がモニターの中に見たものは、
人気のない部屋と、パタリと閉じたあの本だけだった。



此処はどこだろう。
そう思ってNO.1は目を開けた。
「いらっしゃ〜い。」
真っ先に映ってきたのは、ウサギの人形の超アップ顔。
「わっ!!」
「おとぎの国入り口へようこそ!」
NO.1の叫び声とウサギの大声で、気絶していた他のメンバーは目を覚ます。
「此処ではどの世界に行くか、三択で決める事が出来ます♪何か質問は?」
「はい。」
まだ頭がボーっとしているようだが、NO.5が聞く。
「何でしょう?」
「決めてどうすんの?」
「いい質問ですねぇ。決めたら、皆さんにはランダムでその中の役になってもらい、エンディングまでたどり着いてもらいます。」
「エンディングにたどり着いてどうすんだよ。」
「おや、NO.4。エンディングにたどり着けば、この本からぬけ出す事ができますよ。」
「なぁんだ。簡単じゃない。可愛いウサギさん?」
「ただし、自分がKNDメンバーであること、これはその任務である事等の記憶があるのは物語の主人公役になった人のみです。後の人は、その記憶を一旦消去して、性格は変わらずとも役になりきってもらいます。そのため、これは主人公役一人が重要になってきますね。」
「「「「「うっ・・・・・。」」」」」
とメンバーたちはうめいた。
「さてと、これで大体説明は終わりでしょうか?では、これから物語りの選択と行きましょう。」
そう言ってウサギは続ける。
「次の中から選んでください。
@ 狼と七匹の子ヤギ
A かちかち山
B シンデレラ
さぁ、どれ?」




相談タイム
「はいはーいっ!私、シンデレラがいい!」
NO.3がまっ先に意見を言う。
「それならNO.5は狼と七匹の子ヤギがいいな。」
「僕も同感。」
「俺も、それだったら一番いいと思うぜ。」
それを合図に自分の意見を言っていく皆。
「ちょっと待て。」
その中で冷静に皆を止めるリーダーは、言う。
「まず、狼と七匹の子ヤギの話を良く考えろ。七匹の子ヤギの中で、主人公の子ヤギになった奴はいいが、他の6匹の中に誰かが入ったとして、その上敵役の狼にも誰かがなったとしたら・・・。」
「・・・・・誰か(ヤギ)が誰か(狼)のおなかの中に入っちゃうね。」
NO.5が続ける。
ぞぞぞーーーっと皆の背中に悪寒が走った。
「次に、かちかち山を考えてみろ。お婆さん役になった奴がいたら、間違いなくまず最初に殺される。」
「・・・・しかも、悪役の狸はその恨みを買って背中に火をつけられたり、その背中に唐辛子塗られたり、ドロの船に沈められたりするんだっけ。・・・・NO.5、嫌だなぁ。」
「そういうわけだ。つまり、一番安全なのはシンデレラしかないんだよ・・・。」
「やったーっ!!私、シンデレラになりたいなぁ!」
「待て。できるなら俺もそうしてやりたいが、役はランダムで決まるらしい。つまり、俺やNO.2,NO.4もシンデレラになり得るんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「じゃぁ聞くがNO.4、仲間に食べられるのとドレス着るのとどっちが良いんだ??」
「・・・・・・うっ・・・・・。」




「決まりましたか??」
ウサギが言う。手には鍵を3つ、持っていた。
「ああ。シンデレラの物語に入るとするよ。」
「そうですか。それは懸命な判断ですね。」
言いながらウサギは3つの鍵の中から一つを取り、いつの間にか彼の後ろに佇んでいた3つの扉のうち、「3」と書かれた扉にそれを差し込む。

「言っておきますが・・・この物語は安全な為、難易度が高くなっております。ご注意を。」
そう言って扉を開いた。

扉に入る直前、NO.1が仲間に告げる。
「いいか、もし俺たち男三人がシンデレラ役になっても・・・・・・笑うなよ。」
「分かってるって。それに、もしかしたらNO.5がシンデレラかもしれないんでしょ?」
「私シンデレラになりたい!!」
「僕NO.3は止めたほうがいいと思うなぁ・・・。失敗しそうだし・・・。
「なんでぇーーっ!?」
「いや、俺は似合うと思うよ。ドレスとか・・・。
怒るNO.3に、顔を赤くしてボソッと呟くNO.4。
「ホント!?」
そのやり取りを横目で見ながら、NO.1が言う。
「いいか、もしちゃんとした最後にたどり着けなくて、この本に閉じ込められる事があっても・・・俺たちは仲間だ。」
「そんな事当たり前じゃない。それにNO.5、この任務は絶対成功すると思ってるから。ね?」
「・・・・そうだな。」

そして、リーダーがお決まりの言葉を告げて、KNDメンバーは扉の中に入る。


「KND、戦闘配置につけ!」


→Next

+++++++++++++++++++++
ごめんなさいまだ続きます。前置き長いかな。
会話、誰が何を話しているか分かり易くしたつもりでしたが。。。。だめかも;
密かに3×4入れてみました。
予定としては、主人公が3バージョンと主人公が5バージョンを作るつもり。
だって男の子がシンデレラっていくらなんでもタブーでしょ?
予定は未定、ですが。


戻る