***バツゲーム***



「おっ?ナンバー1、見てあれオットセイ!そっくりだぞ!」
「・・・・はぁ。何に?」
「何言ってんだよナンバー1に決まってんじゃんか。みんなが動物に変えられたときもオットセイだったし。」
「・・・・コアラはどこかな?」
「・・・・・。」
動物園独特の臭いにおいに囲まれた、人気のいない静かな道を二人は歩く。
「歩く」といっても片方は肩車の状態であったが。

何故だ。何故こうなったんだ。
右側にあるオットセイの檻をじっと見ながらナンバー1は考える。ちなみにその隣はペンギンの檻だった。
自分の頭上からナンバー4が「なんだナンバー1、仲間意識か?」とか言いながらゲラゲラ笑っているのを聞きながら、思考にふけていく。


それは昨日の夜のことだ。
「明日はナンバー5、家族で出かけるから。遊園地行くんだ。」
テレビを見ている最中に、突然ナンバー5が切り出してきた。
「あっあたしもー。レインボーモンキーランドに行くの〜。すっごい楽しみなんだ!」
「僕も明日は家族みんなで新しいメカを作ろうと思ってるんだけど・・・。」
ナンバー3とナンバー2が言う。
「そうか。じゃ、行って来いよ。別に二人でも大丈夫だし。」
さらりとナンバー1が返す。
「そーそ!俺がいれば全然大丈夫だって!!」
と威張ったのはナンバー4。
「・・・・いや,アンタだからナンバー5心配なんだよ・・・」
「どういう意味だよ!」
「そのまんまの意味じゃないの?」
「・・・・・・。」
片思い中の相手に言われるとそれなりに傷つくらしい。
「・・・・まぁ、留守番は俺らでするからゆっくりしてこい。な?」
何とも言えなくなったナンバー1が静かに言った。

次の日の朝。つまり今日。
皆が出ていってしまった後、二人はテレビを見たりして暇を潰していたが、唐突にナンバー4が
「なぁ、暇だからゲームしねー?」
と言い出した。ナンバー1は少し不思議そうにしながら
「・・・?別に良いけど。」
「負けた方が3回、勝った方の言うこと聞くんだ。」
「何のゲーム?」
「そうだなー。。。トランプってのはどうだ!ババ抜きで。」
ナイジェルは子供っぽいな、と口には出さなかったが笑った。
「・・・・なんだよ。」
「いや、なんでもないさ。でもババ抜きはつまらない。」
「・・・じゃ、ジジ抜きで。」

数分の戦いの末・・・・
「・・・俺の勝ち。」
勝ったのはナンバー1だった。
「・・・・言い忘れてたけど先に3回勝った方が・・・・」
「そう言うのは早く言えよ。まぁいいや。じゃ、俺は後2回勝たなきゃいけないわけか。」
ナンバー1の優しさには気付かず、上手く騙せたと思ったナンバー4は、
「そうそう!」
と、うきうきしながら答えた。

数十分後
「・・・・・・・。」
結果・ナンバー1の3勝0敗。
「じっ実はこの後ジャンケンやって勝たないとまた1からやり直しなんだ!」
「・・・そっか。じゃぁ、じゃーんけーん」
なるべく負けてあげたいと思いながらナンバー1は拳をふった。
ぽんっ
ナンバー1:ぐー
ナンバー4:ちょき
「・・・・・・・・・・・・。」
口をぱくぱく動かしたまま言葉にならないナンバー4を見て、ついに耐えかねたナンバー1は、
「何か頼みたいことがあれば聞くけど・・・?」
率直に聞くことにした。
「ほっほんと!?」
「ああ、ホントだとも。」
「じゃ、言うけどさ、・・・・・・・」



そんなこんなでツリーハウスの防犯システムを作動させて誰も入れなくして、二人は動物園にやってきたわけで。
「・・・何が目的なんだ?こんな寂れた動物園に。」
ナンバー1は聞く。実際動物園の中は小さな子供を連れた家族が何組か居るだけだった。
「何言ってんだよ!今日はマシレンジャーが来るんだぞ!」
「それ、もうちょっと向こうにある遊園地の話じゃないか?」
「・・・・・。」
「まぁ、それじゃあ今日は動物でも見て帰るか。」
けらけらと笑いながらナンバー4の肩をポンッと叩くナンバー1。
そう言って二人で歩いて動物を見ていたのは良かった。が。

丁度ライオンの檻を見ていたときの事だ。
「やっぱり見えにくいな・・・。」
ライオンを見ながらナンバー4が言った。彼は背が小さいので檻が邪魔して見づらいらしい。
そこへ、
「わーお父さん、ライオンだよ〜!」
「ほんとだ。それっ」
「わーい!肩車だぁ!!」
といったようなホンワカ家族がやってきた。それを見ていたナンバー4が目をキラキラと輝かせて
「・・・・・!!」
ナンバー1へ無言の訴え。
「いっ嫌だ!!」
「今日は俺の言う事聞いてくれるんだろー!いいじゃんかー!」
「駄目だ!先行くぞ!」
と言ってナンバー1が少し先に歩き始めたところで、
「・・・・やぁっ!」
ナンバー4はめいっぱい跳躍して側にあった高めの木の枝に捕まり、振り子の法則で前に行ったところで手を離し、すぽーんと飛んだ先のナンバー1の肩へと見事着地!
「ぐわっ!」
ナンバー1に相当な重力がかかる。それを知ってか知らずか
「行けっナンバー1!」
そう言って前方を指差している。
これでは降ろすにも降ろせないので仕方なくナンバー1は歩き出した。


回想を終えたナンバー1は、ナンバー4が自分を呼んでいるのに気付く。
「いつまでオットセイ見てるんだよー。もう行こうぜ」
行こうぜ、とは言っても実際動くのはナンバー1のみなのだが。


虎の檻とかヒョウの檻とかフラミンゴとか本当に色んな動物が居て、二人は時を忘れて楽しんだ。
とはいえ1時間ほど歩くとナンバー1も疲れてきたらしい。だんだんと歩くのが遅くなっている。
「・・・・もう降りないか。」
「・・・うん悪ぃ。楽だったありがと。」
そう言いながらナンバー4は元気良く飛び降りた。
「ところでナンバー1、ハラ、減らない?」
ナンバー4が腕時計をちらつかせる。現在12時ちょうど。
「うん・・・ってか疲れたから休ませて。」

近くの園内レストランで二人は軽い昼食を取って、暫く休む。
「それにしても動物園なんてホントに久しぶりだな。」
食後のアイスを食べながらナンバー1は言う。
「あぁ、任務ばっかだったしな最近。」
同じくアイスを食べているナンバー4が言った。
「今度は皆で来るか。」
「そーだな。」
そんな簡単な会話をいくつか繰り返して、二人はどんどんアイスを減らしていく。


ピンポンパンポン♪

突然、聞き覚えのある寂びた音が聞こえてきた。場内アナウンスがかかる。
「まもなく世界初の巨大シラミのショーを行います。・・・・・」
他にも何か言っていたが、もう二人の耳には入っていなかった。
・・・・巨大シラミ!?
少し前のあのシラミ騒動を思い出す。
「・・・ナンバー4、どう思う?」
「まさかあのシラミじゃあ・・・・?」

・・・・・・・・・・・・・。

「「絶対何か起きる!」」
二人同時に言った。
「・・・じゃあ何で今までニュースにならなかったんだ・・・?ナンバー4、チラシチェック!」
「お、おう!」
そう言ってレストランの建物に貼ってあったチラシの所へ。そしてそれを剥がして持ってくる。
「おい!ナンバー1見ろよ!これあの時のシラミだぜ!間違いねぇ!」
ナンバー1がチラシを読み上げる。
「・・・・『世界初!巨大シラミのサーカスショー!』えっと日にち・・・うわ!今日からだ!」
「どうする!?」
「・・・おうちに帰ろう」
やけにまじめな顔で、ナンバー1が言った。
「はぁ!?」
「帰るんだよ。ツリーハウスに。愛しい木のおうちに・・・・!!」
「何言ってんだよ!此処には子供達が沢山来てるんだぜ?それを見捨てていくのかよ!ナンバー1はそんな奴だったのかよ!見損なったぜ!!」
「ああなんとでも言うといいさ・・・俺はまた・・・あのシラミにポイってされるのが嫌なんだ・・・・!!つるっ・・・だからって畜生!」
目に涙を浮かべながら随分もっともらしいことをシリアスに言っているが所詮シラミである。半分呆れながらも、
「もう知らねぇ!!」
ナンバー4は走り出した。
が、数メートル走ったところでピタッと止まり、クルッと180度回転する。
前方にはナンバー1の後ろ姿。情けなくトボトボと歩いている。
「・・・よーい・・・どんっ!」
小さくそう言ってナンバー4はナンバー1に向かって全力で走り出す。そして・・・
「うわっ!!」
ナンバー1を肩車してそのまま走り続けた。
「これなら身動き取れるまい!!」
高笑いを浮かべながらナンバー4は走っている。
「おーろーせー!!リーダーの命令だぞ!」
「やだね!そんなナンバー1なんかリーダーでも何でもないやい!」
・・・それもそうだな。そう思いながらナンバー1は苦笑した。
「・・・・仕方ない・・・。二人だけど、やるぞ!」
「やっぱりリーダーはそうでないと!」
「その前に分かったから降ろせ。」
「うん。」


「まずは準備だ!ナチョチーズを買ってくるぞ!」
「了解!!」

そう言って二人は一度全速力で動物園を出て、急いで材料を調達し、再び全速力で動物園に戻ってそのままシラミショーへ。
しかし。


「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・なぁ、ナンバー4、ちゃんとチラシ見たよな?間違い無いとか言ったよな?」
「・・・・うん。」
「じゃあなんであんなに小さいんだ?」
寂れた小さなステージで、普通のシラミ(シラミは普段あまり見えないが)より数センチほど大きなシラミが音楽に合わせて軽快なダンスを踊っていた。
それを見ている観客達は、思ったより多かったりして。
シラミの癖にダンス踊れるだけでも十分凄いよ・と思いながらナンバー4は完全に開き直っていた。
「だってシラミなんか見たって一つ一つ判別できねぇもんよー。それにチラシにはもっと大きく写真が載ってたし。」
「・・・違うんだよなともかく。」
「そういうことだな。やっぱアレはおすましキッズの所有物って事で。」
「じゃ、今までの苦労は水の泡だって事だ。」
「まぁ全速力で走っただけの体力とナチョチーズを買った分のお金ってだけだけど。」
「それに俺はポイってされるのを無駄に怖がってたわけだ。」
「・・・ああ・・・。」
二人に寂しげな風が吹く。枯れ葉が舞った。
「・・・帰るか。」
「ちょっと待って。俺シラミのダンス見てきたい。」
ナンバー1を制して、ナンバー4はほぉーと見入る。

シラミのダンスショーが終わって、二人はトボトボと家路につく。
「まぁ、それなりにハチャメチャで楽しかったし。あそこでスナック買ってこうぜ。チーズにつける。」
そう言って菓子屋を指差すナンバー4に、疲れ切ったナンバー1はそれでも笑った。
「みんなに良いおみやげが出来たしな。」
「シラミの話?」
むぐむぐと口を動かしながらナンバー4は言った。
「違う!ナチョチーズとスナックだよ。ナンバー2が喜ぶ。」

そう言ってナチョチーズをスナックにつけて食べながら仲良く歩く二人の影は、夕日のおかげで長かった。



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誰か・・・殺せ!私を殺せ!!
めっさめさすいません。もうホント、土下座しますから許して。
ギャグが書きたかったんです。んでもってもうあの肩車の話を書くと決めてしまったから・・・収拾がつかなくて焦ったから・・・・シラミに逃げました。
なんか1番さん凄い情けないよーお家に帰ろうとか止めてよー私が書いたんだけど。
畑野の脳内ホント、こんなんです。
突っ込みさせてください。
走ってる途中で肩車って難しいって絶対。
しかも結局シラミ違いでしたか。
食べながら歩くって良いですか私良くするんですが。ってかナチョチーズつけながらって結構難しそうなんですが。
ってゆーかぁ家に帰る頃には無くなってそうなんですけどぉ〜。
意味の分からないギャグ真っ盛りですいませんでした。

ちなみにこれ、イラストにあわせて書いたもんです。4番を1番が肩車。
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